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(製品・技術紹介)

消化ガス精製装置(シロキサン除去)/JFE-バイオガスクリン

分類 汚泥処理設備 > 濃縮・脱水 [この分類の技術一覧]
名称 消化ガス精製装置(シロキサン除去)
商品 JFE-バイオガスクリン
会社名 JFEエンジニアリング 株式会社[会社概要][技術情報一覧
お問い合わせ先 水エンジニアリング事業部水システム営業部
TEL : 045-505-7606(直通)  FAX : 045-505-7702

概要

下水汚泥を嫌気消化することにより発生する消化ガスには不純物として人工的な合成物質であるシロキサン(有機ケイ素またはシリコーンオイルとも言う)が存在します。シロキサンはガスエンジンの燃焼室内にて固体であるシリカ(SiO2)に酸化し、粉末または結晶状態で燃焼室に残留します。シリカはエンジン摺動面へ研磨剤として作用し部品の早期劣化や、スパークプラグへ堆積し燃焼を不安定にしたり、排ガス浄化触媒を閉塞し浄化機能を早期低下させるなど問題を引き起こしています。このため消化ガスエンジンは都市ガスを使用した場合に比較し維持管理が煩わしく、維持費が高いのが課題でした。そこで消化ガス中のシロキサンを選択的に吸着する消化ガス精製剤「JFE-バイオガスクリン」を開発しました。「バイオガスクリン」を充填した消化ガス精製装置を装備し、消化ガス中のシロキサンをほぼ完全に除去することで、消化ガスエンジンは、都市ガスエンジンに近いレベルに信頼性を向上できます。

特徴

1.シロキサンを選択的に吸着する消化ガス精製剤
被吸着分子(シロキサン)の特性にあわせた吸着剤を開発したことにより、消化ガス中のシロキサンを選択的に、高効率な除去が可能となりました。

2.最適な吸着塔の設計
シロキサン除去に適した空塔速度とすることにより、高い吸着効果を実現しました。

3.用途に応じた消化ガス精製装置の設計
消化ガスエンジン、マイクロガスタービン、消化ガスボイラ、消化ガス燃焼炉他、それぞれの用途にあわせた、流量、圧力による吸着装置の設計が可能です。また、消化ガス中のシロキサン濃度にも地域差があり、各処理場のシロキサン濃度にあわせた吸着装置の設計も可能です。

4.環境対策に優れた三元触媒式エンジンの使用が可能に
本シロキサン除去装置を付帯することにより、これまで、消化ガスでは適用の難しかった三元触媒式エンジンの使用が可能となりました。三元触媒式ガスエンジンは、希薄燃焼式ガスエンジンに比べて排ガス中に地球温暖化効果の高いCH4の残留量が少ないため、地球温暖化ガス削減効果は、三元触媒式エンジンの方が優れます。

適用

次のような用途に適用することにより、消化ガス利用設備のメンテナンス軽減が可能となります。
1.消化ガスエンジン発電設備
 燃焼室内のシリカ堆積防止や、潤滑油の汚れ防止、排ガス浄化触媒の閉塞防止に効果があります。
2.マイクロガスタービン発電設備
 マイクロガスタービンの機能保持に効果があります。
3.その他消化ガス燃焼利用設備
 消化ガスボイラ、消化ガス燃焼炉等へのシリカの堆積防止に効果があります。

実績

・平成11年: 各種吸着剤におけるシロキサン除去性能についてラボ試験。
・平成12年: N下水処理場にて、実消化ガスにおけるシロキサン除去試験実施。
・平成13年: O下水処理場にて消化ガスエンジンの前処理として実証試験実施。
・平成14年: N下水処理場に、消化ガスエンジンの前処理として実機納入。
W下水処理場に、マイクロガスタービンの前処理として実証試験実施。
特許 第3627100号「消化ガスの精製方法」

シロキサンの物性

シロキサンとはメチル基(-CH3)など有機基を持つケイ素(Si)と酸素(O)がが交互に結合したポリマーの総称です。無色、無臭の安定物質で、常温では液体で、撥水性、潤滑性、電気絶縁性が高いのが特長です。
シロキサンはシャンプーやリンス、化粧品などに添加されており、家庭の浴場、洗面所より排出され、下水処理場に流入します。下水処理プロセス(活性汚泥法)にて、下水汚泥中に取り込まれ、消化タンク内で蒸発した結果、消化ガスに含まれるわけです。消化ガスにはシロキサンは合計で50~100mg/Nm3程度含まれており、年々増加する傾向にあります。

消化ガスエンジンへの影響

シロキサンはガスエンジンの燃焼室内で燃焼すると、粉末または結晶状のシリカに酸化し残留します。シリカ残渣物は、図1の模式図に示すようにエンジンの劣化を早めます。

・燃焼室内全体への付着
・排気弁シート面かみ込み
・ピストンライナー間かみ込み
・潤滑油への混入

バイオガスクリンの効果

バイオガスクリンを未使用ではエンジン燃焼室内は、シリカの堆積物で覆われています。図2にバイオガスクリン使用前のエンジンヘッドの写真を示します。
バイオガスクリンの使用後では堆積物はなく、都市ガス使用状態とあまり変わりません。従ってエンジン運転の信頼性が高く、エンジンメンテナンスインターバルが長くとれるので、維持管理費も低く抑えることができます。また、三元触媒及び排煙脱硝触媒へのシリカの付着もなくなり、三元触媒式エンジンの消化ガスへの適用が可能となりました。

三元触媒式エンジンへの適用

三元触媒式ガスエンジンは、希薄燃焼式ガスエンジンに比べて排ガス中に地球温暖化効果の高いCH4の残留量が少ないため、地球温暖化ガス削減効果は、三元触媒式エンジンの方が優れます。しかし、三元触媒式ガスエンジンでは、シロキサンにより触媒層の表面をシリカがカバーリングし、貴金属と排ガス被浄化成分との接触を阻害するため、浄化機能が早期に失われることが問題でした。
本シロキサン除去装置を付帯することにより、三元触媒のNOx除去性能が十分に保持され、三元触媒式エンジンの消化ガスへの適用が可能となりました。

JFEエンジの水処理関連商品へ
https://www.jfe-eng.co.jp/#03
図1.希薄燃焼エンジンの場合の残渣物

図1.希薄燃焼エンジンの場合の残渣物

図2.バイオガスクリン使用前

図2.バイオガスクリン使用前

消化ガス精製装置(シロキサン除去)/JFE-バイオガスクリンに関するお問い合わせ

問合せ先
水エンジニアリング事業部水システム営業部
TEL : 045-505-7606(直通)  FAX : 045-505-7702

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