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活性汚泥動物園

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ご案内

あなたの家から出てくる下水は下水処理場で「活性汚泥」によって浄化されます。

活性汚泥は下水中に空気を吹き込んでいて数日経過すると形成されて来ます。

活性汚泥は主としてバクテリア(細菌類)、原生動物、後生動物などから構成されている「生物群集」です。

バクテリアは下水中に溶けている有機物を食べて増殖し、原生動物や後生動物はそのバクテリアや粒子状の有機物を食べて増殖し その結果として下水中の有機物や粒子状物質が生物の体になって浄化され清澄な水になります。活性汚泥の中に棲む微生物のうちバクテリアは浄化の主役ですが小さくて顕微鏡で見てもよく分かりません。

原生動物はその種類も多く、個体数も多く、そして顕微鏡で簡単に見ることが出来ます。その役割も浄化の「仕上役」であり、また活性汚泥や処理水の状態を反映しますので、「目安」として利用できます。後生動物も同じような役割を果たしますが、出現する種類も多くありません。

原生動物はその特性からいくつかの「群」に分けられますが出現するのは「肉質虫類」「鞭毛虫類」「繊毛虫類」の3群です。

肉質虫類 アメーバ類とも呼ばれ水中のバクテリアや粒子状有機物、時には他の小型の原生動物を食物とします。また殻を持つものと持たないものがあります。
鞭毛虫類 1~数本の鞭状の毛を持っているもので、溶けている有機物を食物とするものが多く、活性汚泥の状態が不十分の時に出現するものが多いようです。
繊毛虫類 体全体あるいは一部に短い毛(繊毛)や繊毛が変化した棘毛、吸管と呼ばれるものがあります。活性汚泥の浄化状態が安定し、処理水の性状が良い時に出現します。活性汚泥の中には200種類ぐらい出現します。

※ 参考図書「下水処理と原生動物」著者:盛下 勇

活性汚泥ってなに?

活性汚泥とは?

下水を容器に入れ、空気を吹き込んで数日間そのままにしておきます。そして空気を止めると、はじめに見られなかった綿状の小さいかたまりが集まってだんだん大きくなって沈んでいきます。お椀に入ったみそ汁が雲のようにだんだん沈んでいく様子と似ています。「活性汚泥Activated Sludge」の誕生です。活性汚泥を顕微鏡で見ると様々な生物が動き回っているのがわかります。活性汚泥を生物学の立場から定義すると、「細菌類や菌類を主な構成生物とし、原生動物や小形の後生動物を従属生物群とした複合生物群で、水中の有機物を吸着、分解しながら呼吸、増殖を続ける一つの生態系」というような表現になります。

生物はどこから来るの?

活性汚泥の中に出現する生物はだいたい土壌の中に生息しているものです。胞子の形で空気中を浮遊しているものもあります。これらの生物は雨によって地表に落ちてきたり、地面から流れてきて下水道に入り、環境に適合したものが増殖して生物群をつくるといわれています。

動物園入り口(一覧表)

動物園入り口(一覧表)

活性汚泥微生物の大きさ

活性汚泥微生物の大きさ

活性汚泥に出現する原生動物は上図のように、一部は肉眼でその大きさを認められますがほとんどのものは顕微鏡でなければ見えない大きさの生物です。

活性汚泥微生物の生物界での位置

この地球上に生息している動植物類は約341万種(1980基礎生物学ハンドブック)と言われていますがその実態はわかりません。また分類の仕方も研究者により違います。常識的には下図のように分類されています。
活性汚泥等の処理にかかる動物は全体から見ればごく僅かで下図の真核生物のうちの原生生物界の大部分と原核生物のうちの真正細菌と放線菌の1部です。

活性汚泥等に出現する動物

真核生物 核が明確にある。多数のミトコンドリアを持つ。酵素代謝や葉緑体による光合成を行う。
原核生物 明確な核が存在しない。酸素なしでも生存しますが、大半の種は酸素を必要とします。

(L.Margulis 1974年に基づく、一部改変)

活性汚泥微生物の生物界での位置

原生動物の繁殖の仕方

原生動物の多くは二分裂法で増えていきます。分裂の様子は、体が横かあるいは縦に分かれて分裂するもので、Operuculariaは縦分裂、Euplotesは横分裂の例です。この他にも、Tokophryaのように芋に芽が出るように増える芽出法や、胞子法、有性生殖的な接合などで増えるものもあります。

原生動物の繁殖例

Opercularia オペルクラリアの分裂像
Euplotes ユープロテスの横分裂像
Euglypha tuberculata ユーグリファ チュウブェルクラータの横分裂終了時像
Opercularia オペルクラリアの接合像(異形接合)
Tokophrya トコフィリヤの出芽像

原生動物の観察の仕方

泥活性汚に出現する原生動物はその大きさから肉眼で観察できる種はほとんどありません。したがって顕微鏡を使用しなければなりません。顕微鏡には色々な種類がありますが総合倍率で400倍(対物レンズ10~40倍、接眼レンズ10倍)、十字裁物台付、光量を調整できるコンデンサー付のものであれば十分です。

一般にコンデンサー集光部に青色の昼光色用のフィルターが入っているものが標準ですが、位相差顕微鏡用の緑色フィルターを使用するとコントラストが強く体形・構造が明確に観察できます。先ず活性汚泥を0.025ml採取し、スライドグラスの上に滴下します。そして18×24㎜カバーグラスを静かに乗せて試料が均等に拡散するような状態にします。(この時試料がカバーグラスから漏出するようであれば試料が多すぎます。)そしてその周辺をマニキュアで塗ると水分の蒸発を防ぎ長時間観察するのに便利です。用意できたスライドを十字裁物台の上に置き、光源を入れ、対物レンズは低倍率から高倍率に変えるよう観察をしていきます。 また、動きが早くて観察できないときには、メチルセルロースを混ぜて動けなくしたり、薬物を使用して「マスイ」したりして観察します。普通はカバーグラスの周縁をマニキュアで塗って水分を蒸発させず、溶在酸素を消費させ、弱らせてから観察するとよいでしょう。十字裁物台はスライドグラスを前後・左右にさせる装置です。

参考資料:
重中義信監修(1998)原生動物の観察と実験法 P259 共立出版株式会社

原生動物種の同定項目

活性汚泥等に出現する原生動物の種を同定するときの項目

(同定:種名を決定すること)

活性汚泥等に出現する原生動物の種を同定する時の基準項目としては以下のような項目の状態を使用して行います。顕微鏡に出現する原生動物の「種名」を同定する場合には、以下に示す様々な項目を調べなければ同定できませんが、全ての種について情報が揃っていませんので実際には、外部形態、細胞質、生活様式、生殖様式などの項目内のわかっている事項を基準としています。

種を同定するために使われる主な分類基準

外部形態
  • 概形と大きさ
  • 細胞表面の模様・彫刻(特に銀線系)
  • 被覆の種類(鱗片、殻、ロリカなど)の種類と形態
  • 運動小器官(仮足、鞭毛、繊毛)の種類、数、分布ならびに運動様式
  • 繊毛集合体(波動膜、小膜、棘毛)の種類、数、分布
  • 細胞口の位置と形態
  • 細胞肛門の位置
  • 胞子の形態
細胞質
  • 体色と色素の種類
  • 色素体の種類、数および分布
  • 眼点の形、大きさおよび存在場所
  • 繊維構造(細胞咽頭籠、コスタ、ベルタ、キネトデスマ、ネマトデスマ、系筋など)の種類、数、形態ならびに存在場所
  • 毛胞の数と分布状態
  • 核の形、大きさ、数、位置ならびに内部形態
  • 細胞内骨格の形態と構成成分
生活様式
  • 生活型の種類(自由生活、寄生、共生など)
  • 生息環境(塩分濃度、温度、pH、BOD、水温など)
  • 生活様式(定着型、遊泳型、浮遊型など)
  • 群体の種類と形態
  • 生活環の様式
生殖様式
  • 無性生殖の型(2分裂、多分裂、出芽、増員増殖など)
  • 有性生殖の型(融合、接合、ペドガミー、オートガミーなど)
生化学的特性
  • DNAの比重
  • リボソームの組成
遺伝的特性
  • 染色体と核相
  • 核遺伝子連鎖群
病理的特性
  • 宿主の種類
  • 感染部位と病状
  • 媒介者種類

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